生活の中の覚え書き

生誕110年 東山魁夷展

http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/kaii2018/

 

会期ギリギリで東山魁夷展に行きました。

開催されることは知っていたけれど、あまり行く気はなかったのだけど、気まぐれに足を伸ばしました。行って良かったです。

思ってた以上に素晴らしくて、いくつかの作品では感極まって目頭が熱くなりました。特に、晩年の作品群は、やはり良かったですね。

ある人物を特集した展覧会は、その人の表現したいことを感じやすくて、より感動することが多いですね。

 

70作品の出展で会場は結構広かったですが、1時間程度で満足いくぐらいの規模感でした。ずっといていいよと言われたら、ずーっと見ていられる作品も多かったです。

 

素人ながら、作品について、好き勝手書きます。

 

『残照』1947年

解説によると、東山魁夷出世作

見たときは早朝朝日に照らされ山かと思いましたが、作品名からすると、夕刻の風景なのでしょう。

山中の風景で、絵の中央の山々が、薄明かりで白っぽくスポットライトが当たったように照らされています。

多くの作品でそうなのですが、繊細ながらふんわりとして、本物の景色に美を感じる瞬間を思い出します。本展では、この作品のように中央に明るい色合いが配置される絵が多いように感じました。

 

『道』1950年

教科書にもよく載っている有名な作品。

真ん中より少し左を中心に、ややカーブを描き奥に向かう道が描かれています。目の前に立ってみふと、私の目の前に道があるように感じられました。

晩年の作品と比べると、活動的な印象をうけました。また。この中央に明るい細長い色合いの配置を置く作品も多かった気がしました。

 

『冬華』1964年

これは、北欧での活動機に描かれた作品のようでした。月に照らされた雪景色。中央に、白い満月と一本の大木が描かれています。白い木の枝の美しい広がっていて、複雑なのにまとまっています。

この作品と似た構図の作品が、次のセクションにも展示されている『花明かり』です。

 

『花明かり』1968年

こちらは、京都での活動期の作品。構図が『冬華』と非常に似ています。もしかしたら、冬華は桜を意識していたのかもしれませんね。全く異なりますが。中央に桜の木と月が配置され、柔らかく繊細な筆致です。調べて気がつきましたが、タイトルは月明かりではないのですね。月明かりによって照らされた桜が光っているように見えたのでしょうか。

 

『白馬の森』

白馬シリーズも複数展示されていました。白馬というモチーフが非常に幻想的に描かれています。もののけ姫のシシガミまでは行きませんが、現世界を超えた神的なものを感じました。

 

唐招提寺御影堂障壁画』

お部屋を再現しての襖絵の展示。10枚以上の襖に海を描いた作品が素晴らしかったです。ファンタジックなVRのような感覚を味わいました。

 

晩年の風景画

 

晩年の作品群は、本当にどれも素晴らしかったです。実物の風景以上の美しさ、心を動かす何かが、どの作品にもありました。実物の風景もとても美しく、それを写実的に描写しているにもかかわらず、それ以上に感動させる、アートワークの力を感じました。